定期更新中の龍性院だより一覧

  • 春彼岸号2021.03.15

    昨年の記録的な暖冬に比べると、今シーズンは冬らしく冷え込む日もありながら、しかし着実に春の訪れを感じるこの頃となりました。昨年に続き、今年も東京の桜(ソメイヨシノ)の開花予想日は例年より10日も早い予想となっており、寒い冬を乗り越え草木も急ピッチで春を迎える準備を整えている様です。暖かい気候になって来たとは言え、世界は未だコロナ禍の中にあります。檀信徒の皆様は、お変わりなく無事にお過ごしでしょうか?

    さて、今年はあの東日本大震災の発生から10年の節目を迎えました。時の経つ早さに驚くと共に、“十年一昔”の言葉通り、最近では東日本大震災が世間でも昔の事となりつつある様に感じられます。しかし、場所によって復興は未だ道半ばであり、実際に被災をされた方や地域にとって、傷を癒すには十分な時間とは決して言えないと思います。

    世界では、どこかで毎年のように大きな自然災害が発生を致します。我が国に目を向けても、今年度だけで『令和2年7月豪雨』や、各地での台風・豪雪の被害、今年の2月13日には福島県・宮城県で最大震度6強を観測する地震が起こる等、多くの災害に見舞われました。自然の営みの中で生かされている私たちにとって、自然の営みそのモノである自然災害は今後も向き合いながら生きていくほかありません。

    東日本大震災のあの時、直接被災をされなかったとしても、これを他人事や昔の災害とやり過ごすのではなく、いつ起こるかわからない自然災害だからこそ、普段から備えを怠ってはならないのだと思います。

    震災時に、“絆”という言葉がさかんに使われました。絆とは、本来動物を繋ぎとめておく綱の事を言いますが、この時は人と人の結びつきや助け合いの意味として多くの方に共有された言葉です。あの時、有事の際人間は一人では生きていけない、お互いに支えあう事が大切だと多くの方が学んだはずでした。しかし今はどうでしょうか?震災についての風化やコロナ禍も相まって、再び人との結びつきが蔑ろになっているように私は思います。

    人は忘れる生き物と言います。ある程度は仕方ないのかもしれません。辛い記憶は、むしろ忘れていく事で気持ちが救われる部分もあります。しかし、人間は一人で生きているつもりでも決して一人では生きていけない、これは忘れてはいけない事実です。

     震災時、悲惨な被災地の状況にあっても、人々が助け合う姿に多くの方が勇気をもらい、人と人の繋がりのもと再び前を向いて進む事ができました。この事実を、私たちはコロナ禍でも決して忘れてはいけないと強く感じます。

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  • 正月号2021.01.01

    龍性院檀信徒の皆様方におかれましては、令和3年の新しい年をご家族ご一同様でご無事にお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。また、昨年中に皆様方に賜りましたご厚情に対しまして、心よりお礼を申し上げます。本年も、當山護持・発展の為一生懸命尽力して参りますので、ご信援を頂きます様、よろしくお願い致します。

    昨年を一言で振り返ると“コロナ禍”での一年間であったと、どなたに聞いても仰られるのではないでしょうか?ニューノーマルとか新しい生活様式という言葉のもと、文字通り私たちの生活は一変し、私などはまだまだその新たな環境に慣れないところもございますが、もう新たな環境にすっかり順応されている方も一方ではいっらしゃると思います。

    国があれだけ「働き方改革」とスローガンを掲げ、多様な働き方を選択する社会の実現を目指していながら中々前進できなかったのに、コロナ禍になりその改革が一気に前進したのは皮肉なことであります。

    さて令和2年の『2020 ユーキャン新語・流行語大賞』の年間大賞に「3密」が選ばれました。この「3密」とは、もう皆様良くご存知の“密閉”“密集”“密接”を指す言葉です。新型コロナウイルス感染症対策として、厚生労働省や総理官邸が打ち出した標語としてもすっかり有名になりました。

    実はこの「3密」と全く同じ『三密』という用語が仏教(密教)にあります。三密とは、“身密(手に印を結び)”“口密(口で真言を唱え)”“意密(心に仏さまを感じる)”のことで、この『三密』を実践すると、私たちは“この身このまま”仏さまになることができると弘法大師は説いていらっしゃいます。

    こう聞くと少し難しいと思われるかもしれませんが、この『三密』を現代社会に応じて考えるなら、“身密(自分の行いを正す)”“口密(自分の言動を正す)”“意密(自分の心を正す)”を実践しようということです。かなり分かりやすくなりませんか?

    自分勝手な行動は慎んで、大切なものを見極め守るために行動すること。

    他人を傷つける言動を控え、積極的に人に感謝の気持ちを伝えること。

    人を思いやり周囲に惑わされず、ありのままの自分の心を見つめること。

    「3密」を避け『三密』を実践することは、大切な人を守り、社会を安定させ、ひいては自分の人生を豊かにすることに繋がるものだと思います。

    コロナ禍の今だからこそ、二つの《さんみつ》を是非心に留めていきたいですね。

    令和3年が、檀信徒皆様にとって幸多き年となります様、ご祈念申し上げご挨拶と致します。

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  • お盆号2020.07.15

    令和2年も早折り返しを迎え、いよいよ夏本番が近づいて参りました。しかし今年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、お祭りや花火大会、海水浴等を楽しむ事は困難になっております。毎年、夏が来れば当たり前だと思っていた風物詩が、今はすごく遠いものに感じられます。仕事はテレワーク化が進み、実家への帰省や友人との飲み会もオンラインで行われる様になり、今回のコロナ禍は“新しい生活様式”の元、私たちの生活を文字通り一変させました。

    しかし考え方によっては、今回のコロナ禍は私達にとって真に大切な事や有難い事を今一度見つめ直すきっかけになったのではないでしょうか?オンラインで会議や帰省、飲み会等ができるのは便利です。今後も上手く活用すれば、私たちの生活を間違いなく豊かにする助けとなるものです。しかし実践してみて気づかされるのは、やはり実際に皆が集まる事ができたらもっと良いよねという事だと思います。コロナウイルスが終息したとき、今まで当たり前だと思っていたものの有難さに気づき、真に大切な事、有難い事をしっかりと理解できる心を獲得していたいものですね。

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  • 春彼岸号2020.03.18

    今シーズンは記録的な暖冬に全国が見舞われ、スキー場では雪不足の為営業期間の短縮や営業自体を断念する等、いつもの冬を期待する方には大きな影響を及ぼす冬でもありました。

    そんな中、駆け足で春が訪れている様で報道等で知る限りでは、東京の桜(ソメイヨシノ)の開花予想日は、3月15日前後と例年より10日程も早いそうです。暖かくなり、桜が咲いたらゆっくりお花見にでも出かけたいところですが、今年はあまり軽々に皆をお誘いする様な状況ではございません。

    皆様もご存知の通り、新型コロナウイルス感染症が世界中に広がりを見せております。厚生労働省によれば、国内では3月8日10時現在、461名の感染者、6名の死者が発生しており、その他横浜港へ寄港したクルーズ船内でも696名の感染者、7名の死者を数えていると発表されております。罹患をされました方々にお見舞いを申し上げると共に、お亡くなりになられました皆様のご冥福を衷心よりお祈りいたします。

    そうした新ウイルスへの警戒と不安を感じる中、使い捨てマスクや手洗い用の消毒液の品切れが常態化し、また、SNS等を通じた正しくない情報を基にトイレットペーパーが買い占められ、本当に必要な方に物資が行き届かないという問題も顕在化いたしました。

    未知のウイルスに対して不安になるのは誰でもあることです。自分の生活を守る為に必要な物資を確保したいと思うのも当然のことです。しかしその思いが、自分だけ確保できれば他の人は知ったことではないとなってしまった場合、これは大きな問題となります。他人から奪い、他人から奪われる、苦しみの絶えない世界に陥ってしまうからです。自らは他人に与えずに、結果奪い合いの苦しみの世界から脱却できなくなってしまうのです。

    『自利利他』という仏教用語があります。悟りの為に修行し得た功徳を、自分の為のみならず他の方の為にも生かして差し上げることを言います。相手の立場になって考え、幸せを与えることを実践すれば、それは必ず自分に思いやりや優しさという自らの幸せを作り上げる材料となって返ってくるものだと思います。

     相田みつを先生の有名な詩の一節、「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」。この言葉の意味を、困難な現在の状況だからこそ再度皆で見つめ直し、お互いに『自利利他』の精神を養うきっかけとしたいものですね。

    新型コロナウイルス感染症の早期終息と、罹患をされました方の一刻も早い快復を心よりご祈念いたします。

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  • 正月号2020.01.01

    新元号〝令和〟となってから初めてのお正月を迎えました。龍性院檀信徒の皆様方におかれましては、旧年中に賜りましたご厚情に対しまして、心よりお礼を申し上げます。本年も、當山護持・発展の為一生懸命尽力して参りますので、ご信援をいただきます様、よろしくお願い致します。

    気象庁の3か月予報によれば、この冬(12月~2月)は全国的に暖冬傾向になると発表されています。しかし、暖冬といっても毎日が暖かいという訳ではなく、あくまで平均すると気温が高めという事であり、日によっては冬らしく冷え込む時も当然あります。寒暖の差が生じる機会も増えることが予想をされますので、皆様どうぞご自愛頂きたいと思います。

    さて、この秋も全国的に比較的高温傾向であった様で、各地で紅葉の時期が平年に比べ遅れているとの報道を頻繁に目に致しました。12月も10日を過ぎると、さすがに落葉樹はほぼその葉を落とし終わりましたが、平年より遅いという報道は私の目から見ても確かなものであったと思います。

    この紅葉ですが、全国各地で見頃の時期が違っているのは皆様もご存知の通りです。紅葉前線に従って北から南に紅葉は進行します。樹の種類は同じでも、紅葉の時期は日本の北部地域と南西部で、場所によっては2か月以上も違いが現れるのです。

    〝因縁〟という仏教用語があります。「因」とは物事の起こる直接的原因、「縁」とは間接的要因であり、世の中のすべての物事はこの2つの働きによって生じます。樹木が紅葉するのも、紅葉する樹木が存在するという「因」と、紅葉する為の一定の環境である「縁」が揃い初めて美しく紅葉するのです。紅葉の時期の違いは「縁」の違いがそうさせているのでしょう。

    私たちの人生に置き換えて考えてみます。「因」とは自分自身の行いの事であり、「縁」はそれ以外の要因の事を言います。私たちは人生で良い結果が出た時は「因」の〝お陰〟と考え、悪い結果が出た時は「縁」の〝せい〟と考えがちです。しかし、世の中のすべての物事は2つの働きによって生じるのですから、良い結果が出る時は「因」だけでなく「縁」のお陰でもありますし、逆に悪い結果が出た時は「縁」だけではなく「因」のせいとも言えるのです。

    そこで、私たちが良い結果を生み出す為に真っ先にできることは、良い「因」を生み出す事です。「因」は自分自身の行いなのですから、自らが心がければ今この瞬間から実践する事は可能です。そして、良い「因」を作り出しておけば、周囲の環境である「縁」が整った時、初めて素晴らしい成果を生み出す事ができるのです。いくら周囲の環境の「縁」が整っていても、自身の「因」が整っていなければ、成果は上がりません。秋が深まっても、肝心の樹がなければ紅葉は見られないのです。

    令和2年が、檀信徒皆様にとって幸多き年となります様、ご祈念申し上げご挨拶と致します。

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