定期更新中の龍性院だより一覧

  • お盆号2020.07.15

    令和2年も早折り返しを迎え、いよいよ夏本番が近づいて参りました。しかし今年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、お祭りや花火大会、海水浴等を楽しむ事は困難になっております。毎年、夏が来れば当たり前だと思っていた風物詩が、今はすごく遠いものに感じられます。仕事はテレワーク化が進み、実家への帰省や友人との飲み会もオンラインで行われる様になり、今回のコロナ禍は“新しい生活様式”の元、私たちの生活を文字通り一変させました。

    しかし考え方によっては、今回のコロナ禍は私達にとって真に大切な事や有難い事を今一度見つめ直すきっかけになったのではないでしょうか?オンラインで会議や帰省、飲み会等ができるのは便利です。今後も上手く活用すれば、私たちの生活を間違いなく豊かにする助けとなるものです。しかし実践してみて気づかされるのは、やはり実際に皆が集まる事ができたらもっと良いよねという事だと思います。コロナウイルスが終息したとき、今まで当たり前だと思っていたものの有難さに気づき、真に大切な事、有難い事をしっかりと理解できる心を獲得していたいものですね。

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  • 春彼岸号2020.03.18

    今シーズンは記録的な暖冬に全国が見舞われ、スキー場では雪不足の為営業期間の短縮や営業自体を断念する等、いつもの冬を期待する方には大きな影響を及ぼす冬でもありました。

    そんな中、駆け足で春が訪れている様で報道等で知る限りでは、東京の桜(ソメイヨシノ)の開花予想日は、3月15日前後と例年より10日程も早いそうです。暖かくなり、桜が咲いたらゆっくりお花見にでも出かけたいところですが、今年はあまり軽々に皆をお誘いする様な状況ではございません。

    皆様もご存知の通り、新型コロナウイルス感染症が世界中に広がりを見せております。厚生労働省によれば、国内では3月8日10時現在、461名の感染者、6名の死者が発生しており、その他横浜港へ寄港したクルーズ船内でも696名の感染者、7名の死者を数えていると発表されております。罹患をされました方々にお見舞いを申し上げると共に、お亡くなりになられました皆様のご冥福を衷心よりお祈りいたします。

    そうした新ウイルスへの警戒と不安を感じる中、使い捨てマスクや手洗い用の消毒液の品切れが常態化し、また、SNS等を通じた正しくない情報を基にトイレットペーパーが買い占められ、本当に必要な方に物資が行き届かないという問題も顕在化いたしました。

    未知のウイルスに対して不安になるのは誰でもあることです。自分の生活を守る為に必要な物資を確保したいと思うのも当然のことです。しかしその思いが、自分だけ確保できれば他の人は知ったことではないとなってしまった場合、これは大きな問題となります。他人から奪い、他人から奪われる、苦しみの絶えない世界に陥ってしまうからです。自らは他人に与えずに、結果奪い合いの苦しみの世界から脱却できなくなってしまうのです。

    『自利利他』という仏教用語があります。悟りの為に修行し得た功徳を、自分の為のみならず他の方の為にも生かして差し上げることを言います。相手の立場になって考え、幸せを与えることを実践すれば、それは必ず自分に思いやりや優しさという自らの幸せを作り上げる材料となって返ってくるものだと思います。

     相田みつを先生の有名な詩の一節、「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」。この言葉の意味を、困難な現在の状況だからこそ再度皆で見つめ直し、お互いに『自利利他』の精神を養うきっかけとしたいものですね。

    新型コロナウイルス感染症の早期終息と、罹患をされました方の一刻も早い快復を心よりご祈念いたします。

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  • 正月号2020.01.01

    新元号〝令和〟となってから初めてのお正月を迎えました。龍性院檀信徒の皆様方におかれましては、旧年中に賜りましたご厚情に対しまして、心よりお礼を申し上げます。本年も、當山護持・発展の為一生懸命尽力して参りますので、ご信援をいただきます様、よろしくお願い致します。

    気象庁の3か月予報によれば、この冬(12月~2月)は全国的に暖冬傾向になると発表されています。しかし、暖冬といっても毎日が暖かいという訳ではなく、あくまで平均すると気温が高めという事であり、日によっては冬らしく冷え込む時も当然あります。寒暖の差が生じる機会も増えることが予想をされますので、皆様どうぞご自愛頂きたいと思います。

    さて、この秋も全国的に比較的高温傾向であった様で、各地で紅葉の時期が平年に比べ遅れているとの報道を頻繁に目に致しました。12月も10日を過ぎると、さすがに落葉樹はほぼその葉を落とし終わりましたが、平年より遅いという報道は私の目から見ても確かなものであったと思います。

    この紅葉ですが、全国各地で見頃の時期が違っているのは皆様もご存知の通りです。紅葉前線に従って北から南に紅葉は進行します。樹の種類は同じでも、紅葉の時期は日本の北部地域と南西部で、場所によっては2か月以上も違いが現れるのです。

    〝因縁〟という仏教用語があります。「因」とは物事の起こる直接的原因、「縁」とは間接的要因であり、世の中のすべての物事はこの2つの働きによって生じます。樹木が紅葉するのも、紅葉する樹木が存在するという「因」と、紅葉する為の一定の環境である「縁」が揃い初めて美しく紅葉するのです。紅葉の時期の違いは「縁」の違いがそうさせているのでしょう。

    私たちの人生に置き換えて考えてみます。「因」とは自分自身の行いの事であり、「縁」はそれ以外の要因の事を言います。私たちは人生で良い結果が出た時は「因」の〝お陰〟と考え、悪い結果が出た時は「縁」の〝せい〟と考えがちです。しかし、世の中のすべての物事は2つの働きによって生じるのですから、良い結果が出る時は「因」だけでなく「縁」のお陰でもありますし、逆に悪い結果が出た時は「縁」だけではなく「因」のせいとも言えるのです。

    そこで、私たちが良い結果を生み出す為に真っ先にできることは、良い「因」を生み出す事です。「因」は自分自身の行いなのですから、自らが心がければ今この瞬間から実践する事は可能です。そして、良い「因」を作り出しておけば、周囲の環境である「縁」が整った時、初めて素晴らしい成果を生み出す事ができるのです。いくら周囲の環境の「縁」が整っていても、自身の「因」が整っていなければ、成果は上がりません。秋が深まっても、肝心の樹がなければ紅葉は見られないのです。

    令和2年が、檀信徒皆様にとって幸多き年となります様、ご祈念申し上げご挨拶と致します。

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  • お盆号2019.07.19

    本年5月1日、新天皇陛下のご即位にともない、日本は新たな時代〝令和〟を迎えました。そのちょうど一月前の4月1日、官房長官より新元号を〝令和〟と定める旨の発表があり、その出典元や意味にも注目が集まりました。

    ひとつ前の元号である〝平成〟は、中国の歴史書『書経』と『史記』が出典元と言われており、その意味は「国の内外、天地ともに平和が達成される」というものでした。一方、新しい元号〝令和〟は、『万葉集』の一節が出典とされており、国書からの引用は初めての試みでありました。また〝令和〟には「人々が美しく調和し、文化を育む」と言った意味が込められているのだそうです。〝平成〟も〝令和〟も、その意味の中にある深い想いをもって定められた元号なのだと、私は改めて納得をいたしました。

    さて、そんな素晴らしい意味を込めて始まった新時代でしたが、5月19日には山形県東根市で、眼科医の女性が面識のない男子大学生に殺害されるという事件がありました。また、5月28日には神奈川県川崎市多摩区に於いて、小学校へ通学する為にスクールバスを待っていた児童や保護者が次々と刺され、外務省職員の39歳の男性と小学6年生の女児が死亡し、犯人の男も事件直後に自殺するという凄惨な事件もありました。お亡くなりになられた方に謹んで哀悼の意を表します。

    三帰礼文というお経がございます。その冒頭では、「人身(じんしん)受け難(う  がた)し今(いま)すでに受(う)く」とお唱えします。人としてこの世に生を受けることは大変難しいことであるが、今私たちはすでにこの世に生を頂いているのです。この地球上には、私たち人間や動物、植物も含め数限りない命があります。そしてその数限りない命の中で、私たちは人間として命を受けることができました。この命は、過去のご先祖様が私たちに引き継いで下さった宝物なのです。無数のご先祖さまの誰かひとりが欠けたとしても、今の私たちは存在できない、尊く有り難い命なのです。

    新たな時代の始まりと言っても、今日は昨日の明日であって突然大きな変化を期待するのは難しいことかもしれません。しかし、新元号〝令和〟に込められた意味にあるように、人と人がお互いを尊重し親しみを深めることで文化は育まれ、人は成長してきました。私にとっての有り難い命は、他にとっても有り難い命のはずです。新時代にあたり、私たちひとりひとりが今一度命の尊さを見つめ直し、人の命や自らの命を奪うような事件が一刻も早く無くなる様、ご祈念いたします。

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  • 春彼岸号2019.03.25

    晴天の素晴らしい日があったと思ったら雨の日が続いたりと、冬から春への季節の変わり目らしい落ち着かない天候の今日この頃です。

    未だに日中でもストーブが必要な日もありますが、それでも、晴雨に関わらず着実に春が近づいているなと実感できる暖かい日が増えて来ている様に感じます。

    春はもう目の前です。

     

    さて、暖かくなってきて嬉しいのは私たち人間だけではありません。

    これからの季節は、庭の雑草にとっても非常に過ごしやすい、成長のシーズンを迎えます。

    せっかくキレイに草むしりをした庭に、5日も経てばまた新たに雑草が生えてきているのを見ると、憂鬱な気持ちになりますよね・・・。

    これから約半年間、そんな日々が続くのかと。

     

    しかし、人間に嫌われ、不名誉にも〝雑草〟と名付けられた植物も、実はそれぞれ大切な役割をもって存在をしています。

     

    例えば、園芸植物と一緒に雑草が生えていると、害虫はまず背丈の低い柔らかい雑草から食べるので、食害を防いでくれるのだそうです。

    また、土を浄化する効果もあり、酸性に傾いた土壌には酸性を好む草が、アルカリ性に傾いた土壌ではアルカリ性を好む草がそれぞれ生える様になり、どちらかに土壌が偏ることがないよう、中和してくれるのだそうです。

    その他にも、根を深く張り土が浸食されるのを防いだり、夏場には地面の温度上昇を妨げ、土の中にいる微生物や他の植物を守る等、数多くの有益な役割を果たしてくれているのです。

     

    仏教では、あらゆる生き物を慈しむ心を大切にします。

    それは、私たち人間の命が人間だけでは存在することはできず、あらゆる動物や植物の命とつながって初めて存在し得るものだからです。

    私たちが〝雑草〟と呼ぶ植物も、自然がこの世に必要なものだと認めたから存在するものであって、決して〝雑〟草なんかでは無いのです。

    もちろん、生活する上で庭や畑、道路等の手入れは必要ですが、いたずらに駆除するのは自然のバランスを崩してしまうことに他なりません。

    いずれ私たちの生活に影響が表れることも考えられます。

     

    私たち人間の社会でも、「あいつは役に立たない奴だ!」等と厳しい言葉が飛び交うのを聞くこともありますが、大切なのは自分の価値観だけで物事を考えてはいけないということなのではないでしょうか?

    〝わたし〟が思う役に立たない〝あいつ〟も、私たちの知らない所で、誰かの助けになっているのかもしれません。

     

    雑草が自然を労わる様に、私たちも自然を労わりながら生活していきたいものですね。

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