春彼岸号 | 宗教法人 龍性院 | 埼玉県比企郡吉見町にある”真言宗智山派岩室山龍性院”のオフィシャルホームページ

春彼岸号
  • 春彼岸号2022.03.17

    今年も、ようやく春らしい暖かさを感じる日が増えて参りました。今シーズンの冬は、特に新年を迎えてから冷え込みの強い日が多く、首を長くして春の訪れを待っておりましたので、最近のポカポカ陽気を個人的に非常に嬉しく感じる今日この頃です。

    さて、いよいよ春を迎え、新しい年度のスタートへと心新たに明るく進んで参りたい想いですが、世界へ目を向けると暗い戦争の話題が影を落とします。

    2月24日、ロシアがウクライナへ侵攻を開始し、戦争が勃発しました。ウクライナは、ソ連崩壊とともに独立を果たした国です。ロシアの立場からすると、ウクライナは元々ロシア帝国の一部であり、またソ連時代も一緒だったという観点から、自国の勢力下に置きたいとの考えがあり、ウクライナのNATOへの加盟を阻止する為、戦争を始めたのでしょう。

    日本を始めとした多くの国が、このロシアによるウクライナ侵攻を非難し、ロシアへの経済制裁やウクライナへの支援を行っています。そうしたウクライナ側に就く国々に対し、ロシアのプーチン大統領は核兵器の使用も辞さないと思わせる発言を行い、また、ウクライナ国内にある原子力発電所を攻撃する等、世界中を緊張と恐怖に陥れています。

    お釈迦様の時代にも戦争はありました。お釈迦様はこうした戦争が起こってしまう現実に対し法句経で次のように説かれています。

    「実にこの世においては、怨みに報いるに怨みをもってしたならば、ついに怨みのやむことはない。怨みを捨ててこそやむ。これは永遠の真理である。」

    今の私たちが聞いても、その通りだと感じます。第2次世界大戦の後、サンフランシスコ講和会議にて、日本への戦後賠償に対し各国で話し合いが持たれました。その時、セイロン(現スリランカ)代表のジャヤワルダナ蔵相(後の第2代大統領)は、この言葉を引用して日本への賠償請求権を放棄し、当時一部の国々が主張していた日本分割案に反対し、これを退けました。

    怨みを捨てることは、簡単ではありません。実際に自分や自分の大切な人が何か被害にあえば、軽々に怨みを捨てるなんてできるわけはありません。しかし、それでも怨みは怨みしか生まないというのが、お釈迦様の説く心理なのです。

     ならば、現実に生きる我々は、この教えをどう考え実践していけば良いのか。それは、怨みを決して良いものとせず、仏さまのように他をあわれみ、楽しみを与え、苦を取り除く“慈悲”の心を育むことかと思います。1日も早い、戦争の終結をご祈念致します。

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  • 春彼岸号2021.03.15

    昨年の記録的な暖冬に比べると、今シーズンは冬らしく冷え込む日もありながら、しかし着実に春の訪れを感じるこの頃となりました。昨年に続き、今年も東京の桜(ソメイヨシノ)の開花予想日は例年より10日も早い予想となっており、寒い冬を乗り越え草木も急ピッチで春を迎える準備を整えている様です。暖かい気候になって来たとは言え、世界は未だコロナ禍の中にあります。檀信徒の皆様は、お変わりなく無事にお過ごしでしょうか?

    さて、今年はあの東日本大震災の発生から10年の節目を迎えました。時の経つ早さに驚くと共に、“十年一昔”の言葉通り、最近では東日本大震災が世間でも昔の事となりつつある様に感じられます。しかし、場所によって復興は未だ道半ばであり、実際に被災をされた方や地域にとって、傷を癒すには十分な時間とは決して言えないと思います。

    世界では、どこかで毎年のように大きな自然災害が発生を致します。我が国に目を向けても、今年度だけで『令和2年7月豪雨』や、各地での台風・豪雪の被害、今年の2月13日には福島県・宮城県で最大震度6強を観測する地震が起こる等、多くの災害に見舞われました。自然の営みの中で生かされている私たちにとって、自然の営みそのモノである自然災害は今後も向き合いながら生きていくほかありません。

    東日本大震災のあの時、直接被災をされなかったとしても、これを他人事や昔の災害とやり過ごすのではなく、いつ起こるかわからない自然災害だからこそ、普段から備えを怠ってはならないのだと思います。

    震災時に、“絆”という言葉がさかんに使われました。絆とは、本来動物を繋ぎとめておく綱の事を言いますが、この時は人と人の結びつきや助け合いの意味として多くの方に共有された言葉です。あの時、有事の際人間は一人では生きていけない、お互いに支えあう事が大切だと多くの方が学んだはずでした。しかし今はどうでしょうか?震災についての風化やコロナ禍も相まって、再び人との結びつきが蔑ろになっているように私は思います。

    人は忘れる生き物と言います。ある程度は仕方ないのかもしれません。辛い記憶は、むしろ忘れていく事で気持ちが救われる部分もあります。しかし、人間は一人で生きているつもりでも決して一人では生きていけない、これは忘れてはいけない事実です。

     震災時、悲惨な被災地の状況にあっても、人々が助け合う姿に多くの方が勇気をもらい、人と人の繋がりのもと再び前を向いて進む事ができました。この事実を、私たちはコロナ禍でも決して忘れてはいけないと強く感じます。

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  • 春彼岸号2020.03.18

    今シーズンは記録的な暖冬に全国が見舞われ、スキー場では雪不足の為営業期間の短縮や営業自体を断念する等、いつもの冬を期待する方には大きな影響を及ぼす冬でもありました。

    そんな中、駆け足で春が訪れている様で報道等で知る限りでは、東京の桜(ソメイヨシノ)の開花予想日は、3月15日前後と例年より10日程も早いそうです。暖かくなり、桜が咲いたらゆっくりお花見にでも出かけたいところですが、今年はあまり軽々に皆をお誘いする様な状況ではございません。

    皆様もご存知の通り、新型コロナウイルス感染症が世界中に広がりを見せております。厚生労働省によれば、国内では3月8日10時現在、461名の感染者、6名の死者が発生しており、その他横浜港へ寄港したクルーズ船内でも696名の感染者、7名の死者を数えていると発表されております。罹患をされました方々にお見舞いを申し上げると共に、お亡くなりになられました皆様のご冥福を衷心よりお祈りいたします。

    そうした新ウイルスへの警戒と不安を感じる中、使い捨てマスクや手洗い用の消毒液の品切れが常態化し、また、SNS等を通じた正しくない情報を基にトイレットペーパーが買い占められ、本当に必要な方に物資が行き届かないという問題も顕在化いたしました。

    未知のウイルスに対して不安になるのは誰でもあることです。自分の生活を守る為に必要な物資を確保したいと思うのも当然のことです。しかしその思いが、自分だけ確保できれば他の人は知ったことではないとなってしまった場合、これは大きな問題となります。他人から奪い、他人から奪われる、苦しみの絶えない世界に陥ってしまうからです。自らは他人に与えずに、結果奪い合いの苦しみの世界から脱却できなくなってしまうのです。

    『自利利他』という仏教用語があります。悟りの為に修行し得た功徳を、自分の為のみならず他の方の為にも生かして差し上げることを言います。相手の立場になって考え、幸せを与えることを実践すれば、それは必ず自分に思いやりや優しさという自らの幸せを作り上げる材料となって返ってくるものだと思います。

     相田みつを先生の有名な詩の一節、「うばい合えば足らぬ わけ合えばあまる」。この言葉の意味を、困難な現在の状況だからこそ再度皆で見つめ直し、お互いに『自利利他』の精神を養うきっかけとしたいものですね。

    新型コロナウイルス感染症の早期終息と、罹患をされました方の一刻も早い快復を心よりご祈念いたします。

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  • 春彼岸号2019.03.25

    晴天の素晴らしい日があったと思ったら雨の日が続いたりと、冬から春への季節の変わり目らしい落ち着かない天候の今日この頃です。

    未だに日中でもストーブが必要な日もありますが、それでも、晴雨に関わらず着実に春が近づいているなと実感できる暖かい日が増えて来ている様に感じます。

    春はもう目の前です。

     

    さて、暖かくなってきて嬉しいのは私たち人間だけではありません。

    これからの季節は、庭の雑草にとっても非常に過ごしやすい、成長のシーズンを迎えます。

    せっかくキレイに草むしりをした庭に、5日も経てばまた新たに雑草が生えてきているのを見ると、憂鬱な気持ちになりますよね・・・。

    これから約半年間、そんな日々が続くのかと。

     

    しかし、人間に嫌われ、不名誉にも〝雑草〟と名付けられた植物も、実はそれぞれ大切な役割をもって存在をしています。

     

    例えば、園芸植物と一緒に雑草が生えていると、害虫はまず背丈の低い柔らかい雑草から食べるので、食害を防いでくれるのだそうです。

    また、土を浄化する効果もあり、酸性に傾いた土壌には酸性を好む草が、アルカリ性に傾いた土壌ではアルカリ性を好む草がそれぞれ生える様になり、どちらかに土壌が偏ることがないよう、中和してくれるのだそうです。

    その他にも、根を深く張り土が浸食されるのを防いだり、夏場には地面の温度上昇を妨げ、土の中にいる微生物や他の植物を守る等、数多くの有益な役割を果たしてくれているのです。

     

    仏教では、あらゆる生き物を慈しむ心を大切にします。

    それは、私たち人間の命が人間だけでは存在することはできず、あらゆる動物や植物の命とつながって初めて存在し得るものだからです。

    私たちが〝雑草〟と呼ぶ植物も、自然がこの世に必要なものだと認めたから存在するものであって、決して〝雑〟草なんかでは無いのです。

    もちろん、生活する上で庭や畑、道路等の手入れは必要ですが、いたずらに駆除するのは自然のバランスを崩してしまうことに他なりません。

    いずれ私たちの生活に影響が表れることも考えられます。

     

    私たち人間の社会でも、「あいつは役に立たない奴だ!」等と厳しい言葉が飛び交うのを聞くこともありますが、大切なのは自分の価値観だけで物事を考えてはいけないということなのではないでしょうか?

    〝わたし〟が思う役に立たない〝あいつ〟も、私たちの知らない所で、誰かの助けになっているのかもしれません。

     

    雑草が自然を労わる様に、私たちも自然を労わりながら生活していきたいものですね。

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  • 春彼岸号2018.03.05

    今年も早いもので、平成30年の新年を迎えてから2か月半ばかり経過をいたしました。

    春のお彼岸を前に、季節の変わり目らしい寒暖の差がある落ち着かない天候が続いておりますが、龍性院檀信徒の皆様にはお変わりなくお過ごしでしょうか?

     

    花粉も大量飛散中であり、風邪もまだまだ油断できない今日であります。

    何卒体調には十分ご留意いただき、暖かい春をお迎え下さい。

    皆様には、常日頃より當山護持のため格段のご信援を賜り、厚く御礼申し上げます。

     

    さて、この冬は寒さが大変厳しく、さいたま市では1月26日に1977年に観測を始めてから最も低い気温である-9.8℃を記録。

    この寒さと空気の乾燥の影響から、国内ではインフルエンザが大流行いたしました。

     

    先ほど皆様に「体調には十分ご留意いただき~」と申し上げましたが、恥ずかしながら私も、今年になってインフルエンザA型に罹患してしまい、数日間休息を取らざるを得ませんでした。

    新たな年を迎え、忙しい毎日の中でろくに休息も取っていなかった私にとって、不本意ながらも体を休ませる機会をいただくことになったのです。

     

    数日間の休息の後、体調は快方に向かいましたが、その時感じたのは、インフルエンザに罹患する前より今の方がずっと体が快調になったということです。

    また、体の為には無茶は禁物だし、やはり休息は大切だなと改めて学ぶ良い機会になりました。

     

    〝無病息災〟という言葉があります。

    病気や災いにも見舞われず、元気に過ごすことを意味します。

    さらにもうひとつ、〝一病息災〟という言葉があります。

    何かひとつ病気をした人は健康に留意するようになるので、かえって元気に長生きするものである、といった意味です。

     

    無論、無病息災であることが何よりですし、そうありたいものだと思います。

    しかし、病気を患ったからこそ気づくこともたくさんあるのです。

    私たちは、諸行無常の世界に生きております。

    今元気だといって将来も安心ではないし、病気だからといって将来も絶望ではないのです。

     

    大切なのは、現状をしっかり見つめ、学び、これからの生活にどう活かすかということではないでしょうか?

    この〝一病息災〟には、私たちが心豊かに過ごすためのヒントが込められていると私は思います。

     

    今年インフルエンザになった方も、そうでない方も、現状を見つめ、学び、今までの経験を今後に活かしてお過ごし下さい。

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