春彼岸号 | 宗教法人 龍性院 | 埼玉県比企郡吉見町にある”真言宗智山派岩室山龍性院”のオフィシャルホームページ

2023.03
  • 春彼岸号2023.03.26

    新たな1年が始まったと思えば、“もう”3月を迎えました。時がたつのは本当に早いものです。さらに、この2週間程は“まだ”3月だとは思えないほど暖かい日も多く、1ケ月以上季節が進んだような陽気となっています。この調子だと、お彼岸の頃には桜の花を楽しむ事が出来るかもしれませんね。

    春を迎ると様々な花は咲き誇り、木々は一斉に青葉に覆われます。冬の寒さに耐えた後、木々や花が元気に育つ姿を眺めていると、何だかこちらまで元気をもらえるような、明るい気持ちになります。若く青々とした葉は本当に美しいものです。

    一方、私は以前、木枯らしに吹かれて落ちた葉を見ると、何か物寂く切ない気持ちになっていました。

    しかし、ある時に知り合いの方(仮にAさん)から、「木枯らしによって木の枝から枯れ葉が落ちるという事は、次の葉が生まれる準備が整ったっていう事だよ」と教えて頂きました。さらにAさんは、「枯れて落ちた葉は、腐って栄養を含んだ土になって、その土が木の根に栄養を届けるから、若葉が育ち立派な青葉を茂らせるんだよ」と続けました。不勉強だった私は、その話を聞いて温かい気持ちになり、その後は落ち葉を眺める時の気持ちが変わりました。

    枯れた葉は、自らの役目が終わってただ散るのではなく、落ち葉となった後も、次の若葉の為の土となり、栄養を送り育て上げているのです。自然は、そうしてちゃんと長きに亘って命を繋いで今に至っています。

    翻って、私たちは木々の落ち葉と同様に、自分もやがては枯れて落ちた後、次の世代を育てる栄養となる、そんな風には普段あまり考えないものです。まして、今の自分が葉をつけて生きて来れた事は自分の力のお陰であり、前年の落ち葉の栄養のお陰様とは、ほとんど考えないでしょう。しかし、人だって落ち葉の栄養が無ければ、決して葉を茂らせる事はできないのです。

    間もなく、春のお彼岸を迎えます。お彼岸には、是非皆でお墓参りをし、ご先祖様に手を合わせましょう。ご先祖様は、今の私たちが葉をつける栄養になってくれています。感謝の想いを伝え、頂いた自分の命を精一杯輝かせましょう。その心が、やがて次の葉が育つ為の栄養となります。自然が教えてくれています。自然の木々がそうであるように…

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